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2012.01.25  写文集「腕白小僧がいた」  


土門拳氏の写文集「腕白小僧がいた」
この中には、子ども写真の傑作が詰まっています。
読み返すたびに新たな発見があります。

タイトル、「ゴミ捨て場」「金庫」「鮎突く子ら」「傘を回すこども」「おいちいよ」などなど
素晴らしい写真がずらーっと並んでいます。
まさしく本物の子どもたちが写っています。

その中でも私のお気に入りは「お祭りの日」です。
決して可愛い子どもの写真ではありません。

くたびれた服を着た女の子が、露店の前で、おもちゃを欲しそうにずーっと見ています。
そのおもちゃに手で触れたいのに、触れてしまうと自分の気持ちが爆発してしまうかのように、
手はポケットの中です。
しかも足元は大人用の下駄です。

子どもの気持ちがこちらまでひしひしと伝わってきます。

この本の中で土門氏自身、子どもの写真について次のように語っています。

「こどもを撮っているときは、それが二度と撮れないといった厳しさは、
それほどにも感じていないときもあった。そんなものはいつでも撮れると
思っていたのだが、実際には、そのとき、それを撮っておかなければ、今となっては、
もう二度と撮れないのである。」

子どもの写真を撮っていると、痛いほど身に染みる言葉です。
子どもに対して、「今しかない」ということに、どれだけ早く、強く、感じることができるか、
子どもの写真を撮る上で、最大の焦点だと思います。
このことに気づくと素敵な子ども写真、家族写真が出来上がります。

でも、土門氏の場合は、自分の子どもに対して言っていることではありません。
全て、その時代に生きる子どもに対して「今しかない」という言葉です。

多くの方は、自分の子どもに対して「今しかない」という気持ちは、感じていると思います。
その時代を生きる子どもに対しても、「今しかない」と思って撮影すると、
同じ自分の子どもを撮影するにしても、写真の意味がガラッと変わってきます。
子ども写真の枠を越えると思います。

この本から、目の前のことだけでなく、広い目線で社会を見ることの重要性を感じます。
歴史に名を残す写真家は、子どもを撮っているようで、実はその時代を写しています。
子どもは社会を映す鏡です。

そのあたりは、また次回。


土門拳氏の写文集「腕白小僧がいた」
お気に入りです。


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